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歯が割れた場合の治療

歯科治療事例
岡山アニマルデンタルクリニック 院長 樽野 謙太

獣医師 樽野 謙太 / 岡山アニマルデンタルクリニック院長

資格 獣医師免許
日本小動物歯科研究会レベル4認定
ISVPS 小動物歯科・口腔外科学認定医(General Practitioner Certification in Small Animal Dentistry and Oral Surgery)
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本症例の記録

種類 カニンヘンダックス
性別 メス
年齢 2歳
体重 5.5kg
お住まいの地域 香川
病名 複雑性歯冠歯根破折
処置 抜髄根管充填
処置時間 2.5時間
麻酔時間 3時間
麻酔状態 良好

この子は本院で治療した症例です。(私が治療しているので同じ治療をここでもできます)

来院の2か月ほど前に硬いおもちゃを咬んで右上の奥歯がかけてしまいました。

歯磨きをしている子なのでほかの歯は非常にきれいです。

よくあるパターンの割れ方で、主咬頭という一番とがったところが欠けてなくなり、側面が平板破折:平たくはがれるように歯茎の中まで割れる割れ方です。

この子は神経も出ていました。いわゆる神経は正式には歯髄といって神経以外にも動脈、静脈やそのほかの細胞などで構成されています。体の中の組織です。それが出てしまうと様々な刺激や細菌にさらされて神経が死んでしまいます。

神経が死ぬと歯の根っこの先に腐ったものや細菌が侵入します。そうなると根っこの先の骨が炎症を起こして溶けていきます。場合によっては顔の目の下の皮膚から膿が出る場合があります。

この子もレントゲンを撮影すると

わかりにくいと思いますが、このような範囲で骨が溶けている変化が見られます。

このまま放置をすると顔が腫れたり、膿が出た可能性があります。

このようなケースでも治療をすると治る可能性があります。

割れて神経が出た歯の選択肢は次のような選択肢があります。

①そのまま(非推奨) ②神経を残してふさぐ(適応が限定される) ③神経を抜く治療:抜髄根管充填 ④抜歯

この子は③の神経を抜く治療を行いました。

この神経を抜く治療を簡単に説明すると、感染を起こしている歯髄をまず物理的にファイルという神経を削り取る器具で取り除きながら神経の穴を拡大します。そのあと残った組織を溶かし殺菌もできる洗浄液で徹底的に洗浄します。最後に穴の中を詰めて歯の形を整えて終了です。

やること自体は単純ですが、歯の神経の穴は細く長いのできちんとした治療をするのは様々なポイントを抑える必要があります。

当院ではラバーダムというゴムのシールドをかけて、電動の器具を使ってファイリングを行います。また処置はマイクロスコープという処置用の顕微鏡を用いて行っております。

処置が終わるとこのように神経のあった管に白いものが詰まっている状態になっています。これにより汚いものが根っこの先から出ないようにできます。

この治療では、根っこの先の細かい管までは削れない事や根っこの先の周囲についた汚れまでは取れないため必ず治るとは限りません。状態によりますがおおよそ8~9割ぐらいの可能性で治ると思いますが、成功したかどうかは数年しないとわかりません。

処置直後の歯です。歯茎の裏まで割れていたため歯茎の裏まで処置をしています。

このような破折という歯が割れた場合の治療は時間が経たないと成功したかはわかりません。

この子は半年後のチェックを最近しました。チェックはレントゲンを撮影して行います。場合によってはCTをとった方がより正確にわかります。

とりあえず顔の腫れや排膿はなく、外観も問題ありませんでした。

レントゲンではまだ以前の骨の変化は残っていましたが根尖周囲の骨が白さを増している状態でしたので今のところ悪化はないと判断できます。

歯茎の状態も以下の通り本来の位置に近い位置までクリーピング(伸びてきている)していて歯周病のリスクも低い状態であるのを確認しました。

歯が割れた場合でも状況によりますがおおむね歯を残すことは可能です。

抜くしかないといわれた場合でも、歯を残したい場合は一度ご相談ください。

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