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歯がない

歯科治療事例
岡山アニマルデンタルクリニック 院長 樽野 謙太

獣医師 樽野 謙太 / 岡山アニマルデンタルクリニック院長

資格 獣医師免許
日本小動物歯科研究会レベル4認定
ISVPS 小動物歯科・口腔外科学認定医(General Practitioner Certification in Small Animal Dentistry and Oral Surgery)
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本症例の記録

種類 フレンチブルドッグ
性別 メス
年齢 7か月
体重 7kg
病名 埋伏歯 乳歯晩期残存 欠如歯 過剰歯 叢生
処置 埋伏抜歯
処置時間 30分
麻酔時間 2時間 避妊手術+歯科処置+鼻孔拡張
麻酔状態 良好

皆さんわんちゃんの歯は全部で何本あるかご存じでしょうか?

また、人は何本あるかご存じでしょうか?

意外と知らない方が多いのではないでしょうか。

正解はわんちゃんは42本、人は28本(親知らずを入れると32本)です。ちなみに、猫ちゃんは30本です。

上の歯は片側切歯3本、犬歯1本、前臼歯4本、後臼歯2本の10本、左右で20本

下あごの歯は片側切歯3本、犬歯1本、前臼歯4本、後臼歯3本の11本、左右で22本となります。

今回の子は避妊手術(里庄本院)のときに歯のチェックを行った子です。

この子は肉眼で確認すると歯の本数が39本で3本少ない状態でした。下あごの犬歯の後ろの歯が左右で一本ずつ、下あごの一番奥の歯が左右一本ずつ見られず4本少ない状態でしたが、上あごの右の前歯が一本多いことでトータル3本少ない結果になっています。また、乳歯が別で一本残っていました。

このように肉眼で歯がない場合や数が多い場合は必ずレントゲン撮影が必要です。(当院では処置の際はすべての歯のレントゲンを撮影)

レントゲンを撮影すると以下のように歯の有無がわかります。

歯の形が変に見えますが、歯が横を向いているためです。このような場合は待っても生えてくることは少ないです。

この状態の歯を「埋伏歯」といいます。

埋伏歯は周りの骨を溶かす袋ができる「含歯性嚢胞」を形成することがあるため抜歯などの処置をお勧めしています。

この子も今回抜歯をしています。埋伏歯はその部位の歯肉を切開して抜歯をして縫合します。

抜歯後は破片や根っこが残ってないかの確認のレントゲンを撮影します。

一方下の顎の一番奥のところは

歯がない状態でした。この状態は「欠如歯」といいます。欠如歯はこの下顎や上顎の一番奥など小さい歯でよく見られます。小さい歯が欠如した場合生活上は問題ありません。ただし、この欠如なのか埋伏なのかという点が重要なのは改めてお伝えしておきたいポイントです。

この子は短頭種で、歯が込み合っていることが多いです。この込み合って生えている状態を「叢生」といいます。

フレンチブルドッグなどの短頭種はこの上あごの犬歯の後ろの歯が横を向くように並んで狭くなっていて、上あごのひだひだとあいまって毛などが詰まって歯周病が悪化することがあります。この子はいまのところひどくないので無処置ですが、あまりに狭い場合は抜歯をしてスペースを確保することもあります。

この子は埋伏歯の2本と乳歯1本の計3本を抜歯して終了しています。

歯と直接関係はないことですが、短頭種は麻酔のリスクが高い犬種です。麻酔のリスクが高いのは短頭種気道症候群という病態を示しているからです。この病気は程度によりますが何も処置をせずに過ごすと、年々悪化していくことが多いです。このような子を飼う時に私は2つのアドバイスをしています。一つは若いうちに鼻孔拡張手術を行っておくこと。もう一つは避妊手術やこのような埋伏歯のチェックなどをしておくことで、歳をとって麻酔をかける病気になるリスクを下げておくことです。短頭種気道症候群の悪化の要因の一つは空気の取り込み口である鼻の孔が狭いことで気道(息の通り道)が内側に引き込まれる力が働くことです。そのため、鼻の入り口を少しでも広げる事で悪化が抑制されます。イメージが付きにくい方はご自身の鼻をつまんで鼻の穴を狭くして息を吸ってみてください。かなりしんどいと思います。隙間を少し広げるだけでもかなり楽になるのを感じれると思います。

歯科処置には麻酔が必要となりますが、短頭種に適した麻酔方法を行うことで以前よりリスクを下げた麻酔を行うことが可能になっています。お口が気になる方は早めに一度ご相談いただくことをお勧めします。

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